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蕾は開き咲きほこる
第9章 キスの嵐
「そういう理由でいつも早かったんですね。読書をしている姿を何度か見たことあります」
「家で本を読むのも会社で読むのも変わりはありませんからね。だったら満員電車を避けて会社で本を読んだ方が効率的だと思ったんです。それが何年も続けば今では日課のようなものです――っと大丈夫ですか?」
話をしているとカーブに差し掛かり、車内が一斉に揺れる中、課長の腕が私の身体を包み込み守ってくれた。
「あ、ありがと……う……」
お礼を言おうと顔を上げた瞬間、課長の顔が数十センチに迫り、あと数センチ顔を近づければキスができる距離まで近づいていた。
その唇を見ていると昨日の事が鮮明に蘇る。
抱き合いながら何度も角度を変えながら舌を絡めていくキス。
お互いの唾液が混ざり合うほど激しさを増すキス。
それと同時に身体の奥深くから湧き上がる熱にすべての思考を奪われるキス。
ここが電車の中でなければ、ここに誰もいなければこのまま昨日のようなキスをしたいと課長の唇を眺めながら考えていた……