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蕾は開き咲きほこる
第9章 キスの嵐
「さっきも同じようなミスしてたけど、この数字がどれだけ大事がわかってんの?」
バンっと書類を叩きつけた水木さんは腕組みをして威圧的に見下ろしてくる。
「すっ、すいません……」
「すいませんじゃね~よ。一回ならまだしも何回同じ――」
「まぁまぁまぁ、お前の気持ちも分かるけど落ち着けって、そんなに頭ごなしに言ったら坂上さん委縮しちゃうだろう」
私と水木さんの間に入って助けてくれたのは隣で仕事をしていた羽間さんだった。
「それよりも、坂上さん、もしかして体調悪い?」
「えっ?あっ、いえ、そういうわけでは……」
俯いている私の顔を覗き込む羽間さんに驚いて慌てて距離を取る。
「だったら真面目にやってくれよ。提出する前に気が付けたからいいようなものを、そのまま相手に出してたら始末書だけじゃすまないんだからな」
「……はい、以後、きをつけます……」
深々と頭を下げて謝ると、「次はミスするなよ」と言って自分の席に戻っていった。