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蕾は開き咲きほこる
第9章 キスの嵐
「慎重な汐里がミスを連発するなんて珍しいですね。体調が悪くないとすれば心配事でもあるんですか?」
ミスをする理由は十分に分かっているけど、課長にはどうしても言えなくて黙るしかなかった。
そんな私の手を取った課長は、その手の甲に唇を押し当てながら上目遣いで私を見つめてくる。
その視線にくぎ付けになっていると、キスするかのように手の甲を啄み始めた。
「仕事が手につかないほど……朝から何を考えていたんですか?」
何を考えていたかなんて、口が裂けても言えない。
言えないけど……
「私にも言えないような事なんですか?」
言えないけど……昨日のようなキスをして欲しいとゴクリと喉が鳴った。
「私は……ずっと汐里のことばかりを考えていましたよ」
手の甲から唇を離した課長は、私の耳元に顔を寄せて囁いてくる。
話すたびに耳にかかる息がゾクゾクと身体を震わせ思考回路を壊していく。