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蕾は開き咲きほこる
第9章 キスの嵐

「電車の中で見せた表情……私の唇を見て昨晩の事を思い出して恥じらい、そして欲情する汐里の表情が脳裏に焼き付いて離れない」

「えっ」

やっぱりすべてを見透かされていたと顔をあげると、課長との距離は数十センチ程で、あと少し顔を近づければキスができる距離だった。

「朝も、こんな感じでしたね。その時から、私はこうしたかった」

言葉にしながら顔を近づけてきた課長は、手の甲にしていたように啄むようなキスをした。

「か、課長?」

こんな場所でキスをされると思わず驚く私に、何度も啄むキスをしながら話しかけてくる。

「キスをしたいと、思っていたのは、私だけ、ですか?」

啄むキスの合間から見つめてくる瞳は優しくて、だけどどこか妖艶で逆らえない……
というよりは私も願っていた事で、昨日のようなキスをしてほしくてたまらない。
だけどここは会社で、壁一枚隔てた向こうにはたくさんの同僚が仕事をしていると思うと正直にはなれない。

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