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蕾は開き咲きほこる
第9章 キスの嵐
「汐里?」
課長が不思議そうな顔で私を見るから、私は課長の胸に顔を埋めた。
「久しぶりで、恥ずかしい、です」
「毎日のようにしていたのに恥ずかしいですか?」
「だって、3日ぶり……」
「ですから私は汐里とキスをして、汐里を感じたいんです。だから顔を上げてください」
優しく声をかけられても恥ずかしいものは恥ずかしい。
課長の胸の中でイヤイヤしていると、ギュっと力強く抱きしめられた。
「あなたって人は……」
ため息交じりの言葉に呆れられたのかと顔を上げると、課長は目を細めて優しいまなざしを私に向けていた。
「課長……」
「その、課長というのもやめてほしいですね。ふたりでいるときは名前で呼んでください」
「えっ?」
「上司と部下のようで落ち着かない。なので私が汐里と呼ぶように、汐里も私の事は名前で呼んでください」
課長の言いたいことはよくわかる。
恋人同士になれたのに役職名で呼ぶのはおかしいし、名前で呼んだ方が今まで以上に親密になれる気がする。