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蕾は開き咲きほこる
第10章 クリスマス
「そうだな。わしらだけだったら出来合いのもので飾りつけなんぞも考えつかんかったよ」
白い立派な髭を触りながらホホホッと独特の笑いをするのは高畑のおばあちゃんより少し若い長手(ながて)のおじいちゃん。
「そうだよ。汐里ちゃんのおかげだ。ありがとな」
私の背中をポンと叩いてニカッと笑うのは背の高いガテン系の長野さん。
「そんなに改まってお礼を言われる筋合いはないわよ。私たちも楽しかったしね。汐里ちゃん気にしすぎ」
ケラケラと笑うのは桜子さんのマンションの住人さんで、いつも5歳の子供と一緒にコーヒーを飲みに来ている七海(ななみ)さん。
「僕ね。桜子さんの作るミルクセーキ大好きなの。今日から飲めるって聞いて楽しみに来たんだよ」
目をクリクリと輝かせながら愛らしい表情をするのは七海さんの息子の怜人(れんと)くん。
顔見知り程度の常連のみなさんとは、いつの間にか私のことを汐里ちゃんと呼んでくれるほど仲良くなっていた。