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蕾は開き咲きほこる
第10章 クリスマス

『やっと戻ってきた~~』
『戻ってこれたといっても松葉杖生活ですからね、無理はしないでくださいよ』
『分かってるわよ。相変わらず心配性なんだから、光春くんは』
いつもの桜子さんと光春さんの会話に、店内ではクスクスと笑いが零れていた。
『桜子さんの性格を分かっていますからね。心配にもなりますよ。お店を開けるにしても短縮でお願いしますよ』
『はいはいはい!光春くんって本当、小姑みたい。そんなんじゃ、汐里ちゃんに嫌われるわよ』
『どうしてそこで彼女の名前が出てくるんですか』
『光春くんがグズグズしてるからじゃない。最近の彼女は良く笑うようになって可愛さに拍車がかかってるし、それにあんな良い子、誰も放っておかないわよ。グズグズしてると、本当に他の男に取ら――……』
桜子さんが光春さんと話しながら扉を開けた瞬間、長野さんがツリーのイルミネーションを灯した。
それに驚く桜子さんに、私たちはクラッカーを鳴らし言葉を揃える。

