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蕾は開き咲きほこる
第10章 クリスマス

「今日はすいません。せっかくのクリスマスなのに桜子さんの退院を優先してしまって……」
「それは当然ですよ。まだ松葉杖が必要なのに一人で退院させるわけにはいきませんから。それに私も楽しかったですし、桜子さんの楽しそうな顔を見てたらお祝いをしてよかったと思いました」
正直、ディナーを取り止めて桜子さんの退院祝いをしてあげたいと言われた時は腑に落ちなかったし、私より桜子さんを優先する光春さんにモヤモヤした気持ちもあった。
だけど常連の皆さんとたくさん話すきっかけになったし、何よりも桜子さんが喜んでくれる姿を目にすれば、退院祝いをしてあげてよかったと今では思っている。
それに、このことについては何度も謝ってくれるし、こんな素敵なバーを予約して私との時間を作ってくれたのだからそれだけでいいと思っている。
その事を伝えると、光春さんはホッとしたような表情を浮かべ、手に持っているカクテルを飲み干して新しいカクテルをオーダーしていた。

