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蕾は開き咲きほこる
第10章 クリスマス

「すべてお見通しというわけですか……桜子さんには適いませんね。でも桜子さんの言う通りだと思います。辛い時を乗り越える事ができたとしても、幸せになる相手は違ったのだと汐里と出会って思いました。だからこそ、末弘との最後の約束を曲げてまで私は桜子さんの傍にいる事より汐里と一緒にいることを選んだ。それを喜んでくれるのであれば悩む必要はないですよね。私が前に進むことで桜子さんも安心するのであれば……」

「光春さん……」

光春さんの想いが痛いほど伝わってきてどう言っていいのかわからなかった。

「変な昔話につきあわせてしまいましたね。せっかくのイブなので楽しみましょう。次は何を頼みますか?」

何かが吹っ切れたかのように光春さんは笑い、他愛もない話を始めた。
だけど、5年も囚われていた想いから簡単に抜け出せるとは思えない。
その証拠に、笑っているようで笑っていない光春さん。
どこか無理をしているような、そんな気がした。

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