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蕾は開き咲きほこる
第11章 イブの奇跡
『強がらないでください。気が付いていないかもしれないけど、末弘さんの話をした後から寂しそうな表情するんです。そんな光春さんをひとりになんかさせられない。……私が末弘さんや桜子さんの代わりに傍に居ますから、そんな辛そうは顔しないでください』
『そんなに、辛そうにみえましたか?』
『はい。笑っていてもどこか寂しそうで……だから、誰もいない部屋にひとりで帰って欲しくないです』
私の言葉にしばらく天を仰いでいた光春さんは、私の腕の中で向きを代え私の両頬に両手を添えて視線を合わせた。
『だったら……だったら一緒にいてくれますか?』
私を見つめる視線は少し潤んでいて、その潤んだ視線に惹かれるように頷くと光春さんは私の手を取り今来た道を引き返した。
先ほど飲んでいたバーを通り過ぎ少し歩くと、大通りに面した真っ白な建物の中に入った。
エレベータに乗り込み8階のボタンを押し昇り始めると一気に緊張が高まった。