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蕾は開き咲きほこる
第11章 イブの奇跡
光春さんをひとりにさせたくないと言ったのは私。
一緒に居てほしいと言った光春さんに頷いたのは私だけど、光春さんの部屋にあがるとなれば一気に緊張が走る。
それに、普段だったらキスのひとつやふたつあってもいいような場面でも光春さんは変わる階数を見つめるだけでキスも話すこともしない。
その状況に緊張は強くなる。
8階に到着するとエレベータのドアが開き、光春さんは一番奥の807号室の扉を開けて私を中に入れた。

『そんなに緊張しないでください。汐里につられて私まで変に緊張してしまう』

玄関先に立ち尽くす私を見て、光春さんはやっと笑ってくれ、その笑顔に私の緊張も少しは和らいだ。

『急だったので片付いてはいませんが許してください。さあ、どうぞ』

スリッパを出され、先に歩いていく光春さんの後を追ってリビングに足を踏み入れた。
少し広めのリビングには光春さんの趣味の写真が何枚も飾られていて、部屋の隅には何冊ものアルバムと乱雑に写真が入れられた紙袋があった。

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