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蕾は開き咲きほこる
第11章 イブの奇跡
『それですか?今まで撮った写真ですよ。それがあるので片付かないんですよね。仕事と違っていつでもできると思うと中々手が付かずに数年分がたまってしまったんです。いい加減に片付けないととは思うんですが……』
私の視線を感じて説明してくれた光春さんは、数冊手に取ってテーブルの上に置いた。
『コーヒーでも淹れますので座って見ていてください』
私をソファーに案内すると、光春さんはキッチンに移動して慣れた手つきで豆を挽き始め、私はアルバムに手を伸ばしページをめくった。
1枚1枚に日付と場所、時にはメモ程度に撮った時の気持ちや情景などが手書きされていて、その時の光春さんの気持ちが伝わった……
『それは雪山に登った時の写真ですね』
一面の雪景色の写真を見ていると、コーヒーを淹れ終わった光春さんが後ろかアルバムを覗きこんできた。
『はい、熱いので気を付けてください』
『ありがとうございます』
淹れたてのコーヒーを受け取ると、光春さんは私の横に座り、コーヒーを飲みながら写真の説明をしてくれる。