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蕾は開き咲きほこる
第11章 イブの奇跡

『足跡ひとつない雪景色の中、野ウサギが駆けて行ったんです。野ウサギの足は速く写真を撮ることができませんでしたが、寒空の下で生き抜く力強い生命力を感じ、その証として撮ったんです』

『雪山……登られるんですね』

『ええ、装備さえしっかりとしておけば意外と雪山の方が楽なんですよ。と言っても私は山小屋泊なんですが強者はテント泊ですからね。まだまだですよ。――これは福寿草ですね。これもまた雪中で咲く生命力に感激したんです。この後、シカが――』

当時の事を思い出しながら色々な話をしてくれた。
言葉では伝わらない事でも写真があればより鮮明に思い描くことができ、その場にいなくても光春さんが味わった感動を感じることができた。
まだつきあって数週間だけど、ずっと一緒に写真を撮ってきた様な気がして幸せな気分になれた。
まだまだ光春さんと話をしていたいと思っても、お酒が入っているから眠気が襲ってきて瞼が閉じそうになる。

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