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蕾は開き咲きほこる
第11章 イブの奇跡
『これは汐里と初めて一緒に見た景色ですね。あの時は汐里と付き合うことになるとは思っていなかったんですが――……』
光春さんが説明してくれても、それは遠くに感じ、いつの間にか光春さんに寄りかかりながら眠っていた。
目が覚めた時にはベッドの中で、一瞬どこにいるのか分からなかった。
記憶を辿ると話をしながら眠ってしまったんだと思い出す。
ここが光春さんのベッドだと思うと妙にドキドキし、呼吸をすれば心いっぱい広がる光春さんの匂いに光春さんに抱きしめられているようで安心する。
『あれ?じゃあ光春さんは?』
当の本人がいないことに気が付き、ここに来た本来の目的を思い出して慌てて光春さんを探すために寝室のドアを開けた。
リビングは小さな明かりだけが灯り、その中で腕組みをしてソファーで眠る光春さんを見つけた。
その姿にホッとして光春さんに近づいても起きる気配はなく、しばらく光春さんの寝顔を近くから見ていた。