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蕾は開き咲きほこる
第12章 昔のキミも今のキミも
「まぁ、あと一箱ありますから心配はしていませんけどね。それに、こんなにも汐里を抱けるのも今だけですから。年始が終われば慌ただしい毎日が始まり、以前と同じく週末だけしか会えなくなりますし、それに連休は実家でしたよね」
「はい。お正月に帰れない代わりに連休は帰ると約束しましたから……」
連休に会えない事は分かっていたのに、改めて言葉にされると寂しさが沸き起こり、あんな約束をするんじゃなかったと後悔した。
その寂しさが表情から伝わったのか、光春さんは私の横に寝ころび抱きしめてくれた。
「そんな顔をしないでください。会えないのは私も寂しいですよ。それでも、直前にも関わらず快く送り出してくれたんですから親孝行だと思って会いに行ってください」
光春さんの言葉で、電話で話した時の母の声を思い出した。
快く送り出してはくれたけど、お正月は帰れないと伝えた時の母の寂しそうな声。
「そうですね。帰ると約束したんですから、帰って親孝行してきます」