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蕾は開き咲きほこる
第13章 友人
少しの間、睨み合ってふたりだったけど、最初に表情を和らげたのは桜子さんだった。
「お返しよ、お返し。退院祝いをしてくれた時の、お・か・え・し!」
「あっ」
フフフっと笑って答える桜子さんの言葉に、退院祝いをした時の事を思い出した。
今のふたりのやり取りはその時と同じで、違うのは立場が逆と言うこと。
「汐里ちゃんは気付いてくれた?光春くんも思い出したでしょ?」
勝ち誇ったような桜子さんに対して、光春さんも当時の事を思い出したのか少し渋い表情。
「それでも……相談ぐらいはしてほしかったですよ」
お猪口に入った日本酒をクイッと飲み干した光春さんは小さな声でつぶやいた。
その言葉を聞いて、長野さんを見てからどこか不機嫌だと思っていた理由がなんとなく分かった。
ずっと傍で支えあい、自分の手で幸せに導いてあげたかった人だからこそ、自分の知らないところで桜子さんが幸せを見つけたのが悔しいんだろう。
「お返しよ、お返し。退院祝いをしてくれた時の、お・か・え・し!」
「あっ」
フフフっと笑って答える桜子さんの言葉に、退院祝いをした時の事を思い出した。
今のふたりのやり取りはその時と同じで、違うのは立場が逆と言うこと。
「汐里ちゃんは気付いてくれた?光春くんも思い出したでしょ?」
勝ち誇ったような桜子さんに対して、光春さんも当時の事を思い出したのか少し渋い表情。
「それでも……相談ぐらいはしてほしかったですよ」
お猪口に入った日本酒をクイッと飲み干した光春さんは小さな声でつぶやいた。
その言葉を聞いて、長野さんを見てからどこか不機嫌だと思っていた理由がなんとなく分かった。
ずっと傍で支えあい、自分の手で幸せに導いてあげたかった人だからこそ、自分の知らないところで桜子さんが幸せを見つけたのが悔しいんだろう。