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蕾は開き咲きほこる
第2章 本来の私
「水木!会議はどうだった?」
外が薄暗くなり始めた頃、会議から戻ってきた水木さんの周りには結果を聞こうと同僚たちが集まっていた。
「GOサイン貰った。すべてにおいて問題ない、キミたちに任せようと言われたよ」
「まじか?」
「大マジ、大マジ。これも課長のおかげです。ありがとうございました」
水木さんと一緒に戻ってきていた課長は早々に自分の席に座って仕事を始めていた。
その課長に深々と頭を下げる水木さんに、課長は顔を上げてメガネの淵を人差し指でスッと上げた。
「お礼を言うのなら坂上さんに言いなさい。土台をつくり上げたのは坂上さんです」
課長が私の名前を出すと途端に不機嫌になる水木さん。
「ですが、彼女は頼まれた仕事を途中で投げ出したんですよ。途中で仕事を投げ出すような人間に頭を下げる気はありません」
きっぱりと私の事を否定する水木さんに泣きそうになる。
他の同僚たちも同じ意見だとばかりに頷き私を冷ややかな目で見ていた。