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蕾は開き咲きほこる
第2章 本来の私

「では聞きますが――」

そんな彼らに課長はいったん言葉を切り、指を組んだ上に顎を乗せ、今までに見せたことのないような鋭い視線を投げかけた。

「昨日の終業後、同僚に仕事を押し付けてどこに行ってたんですか?」

「えっ?そっ、それは……」

課長の一言に、水木さんが動揺を隠せない。

「私が戻ってきた時には終電間近でしたが、彼女は一人で仕事をしていました。私がメールを送った時にキミはどこにいたんでしょうね」

課長の冷ややかな言葉に、水木さんと一緒に飲みに行った人たちは罰が悪そうに視線を外した。

「同僚に仕事を押し付けて自分たちは飲みに行く。ノー残業デーだったため私が帰して仕事が中途半端に終わってしまった。どちらが社会人として悪いかなんて考えなくても分かりますよね」

語尾が強くなり課長が少なからず怒っているのが伝わる。
普段は温厚で口数が少ない課長が、ここまで怒りを表に出し話すのは珍しい。
だからこそ、水木さんたちは言葉を失いうつむくことしかできなかった。

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