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蕾は開き咲きほこる
第13章 友人
「俺だって桜子の事、ずっと見てきたんだ。末広さんが亡くなって、辛い時を一緒に乗り越えたのは悔しいけど光春くんだった。ふたりには確たる絆があって、その間には誰も入り込めないと思ってた。きっと、これからもその絆は変わらないだろうと思ってたけど、お互いに別の相手を見つけて歩むことを決めた。だったら、最初につきあっている事を伝えるのは光春くんかなって思ってんだ。だから今日の日をセッティングしてくれた汐里ちゃんには感謝しかないんだよ」
だから気にしないで、と言われているような気がした。
私も光春さんと桜子さんの強い絆は感じていると認めてもいる。
それを長野さんも同じように感じてくれていたのは嬉しかった。
「私のお誘いは無駄ではなかったんですね」
「無駄じゃないわよ。光春くんが幸せな姿を私に見せてくれたように、私の幸せを光春くんに見せることができて心からホッとしたの。――だから、もういいのよ。末広との最後の約束に縛られなくても」