この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蕾は開き咲きほこる
第13章 友人
「私が引いたのは凶で光春さんが引いたのが大吉だったんです。恋人同士はお互いに交換するんですよね」
光春さんの言った事を告げると、桜子さんは首を傾げた。
「交換?初詣に行ったのって光春くんとここの間にある神社よね」
「はい。毎年桜子さんとも行ってるって言ってましたよ」
私の言葉を聞いた桜子さんは何を思ったのかニヤリと笑った。
「もう、本当に光春くんは汐里ちゃんの事大好きなんだから。嘘までついて凶と大吉を交換してくれるなんて光春くんらしい」
「嘘?」
「そうよ。長いこと初詣には足を運んでるんだけど、恋人同士で交換するなんて初めて聞いたわよ。きっと、凶を引いた汐里ちゃんが可哀そうで自分の大吉と取り換えてあげたかったのね。それを嘘までついて交換しちゃうなんてね」
桜子さんの話を聞いて、心がジーンと熱くなる。
凶のおみくじを引いた私の為に嘘までついて交換してくれた光春さんの気持ちがとても嬉しかった。