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蕾は開き咲きほこる
第14章 合鍵

「そろそろ、時間ですね」

光春さんの腕の中から顔を上げて時計を見ると、他の社員が出社する時間が迫っていた。
まだまだ一緒にいたい気持ちは溢れるほどあるのに離れなければいけない寂しさに、知らず知らずのうちに光春さんのシャツをギュッと握りしめていた。
そんな私に、光春さんは優しくキスをしてくれる。

「離れたくないのは私も同じで、この瞬間が一番寂しく感じますね。それに……やっと人目もはばからず汐里とふたりっきりで会えると思っていたのに、今夜は申し訳ありません」

本当に申し訳ないと思っているのが伝わるから、私は微笑んでみせる。

「仕事だから、仕方がありませんよ」

「そうなんですけどね。それでも汐里と会える事を楽しみに一週間頑張ってきたので会えないと思うと仕事の張り合いがなくなります」

仕事では一切妥協を許さない光春さんが力なさげに言うから可愛くて、時折見せてくれる弱さにキュンッと胸が鳴る。

「月曜日は早めに帰ってくるので、そのまま光春さんに会いに行ってもいいですか?」

「泊まって、行きますか?」

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