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蕾は開き咲きほこる
第2章 本来の私
『夜分遅くに申し訳ありません。
明日の会議の資料の件でメールしました。
途中までの資料を机の上に置いておきます。
最後は水木くんの手で仕上げてください。
明日の会議には私たちの部署の未来がかかっています。
会議に間に合うことを祈っています』
「なっ?一発で目覚めるよな」
課長が水木さんに送った内容を見て、私より先に会社に来ていた理由が分かった。
こんなメールを見たら会社に行かないわけにはいかない。
「でも課長も人が悪いよなぁ。会議に間に合うことを祈ってますって間に合わなかったらどうするんだって話だよな。それ考えたらお前は良くやったよ」
羽間さんは慰めるように水木さんの肩をポンポンと叩いていたけど、水木さんの態度は少し違った。
「それがさ、朝会社に来て資料見てみたら意外とできてて1時間ぐらいで終わったんだ。あの課長が目を通さず放置するわけもないからあんなメール送ってくるなんて違和感あるんだよな」
水木さんの言葉は、課長の性格を分かっている私たちを納得させるに十分だった。