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蕾は開き咲きほこる
第2章 本来の私
「さすが課長だな」
「だな。それにさ、不思議っていうならもう一個あるんだよな。俺が自分で作った資料のところばかり質問出てつまることなく説明できたんだ。自分で作った場所じゃなかったらあんなにもスラスラと返答できたかどうか……」
「それ、きっと分かってて水木にやらせたんだよ」
私たちの話の間に入ってきたのは、課長と同期の松野下さんだった。
「どういう事ですか?」
「あいつ、頭が良いんだよな。先を見越す能力がずば抜けているというか何というか。会議で質問が出るだろう場所だけ自分では資料を作らずに水木に作らせた。そう俺は取るね」
松野下さんは課長のほうに視線を向けながら楽しそうに言葉にした。
頭の回転が速いのはみんな知っていること。
言葉が少ない代わりにフロアー内をいつも把握してフォローをしてくれる。
「敵わないですね」
「そういうこと。それなのに無口で愛想も悪い。これで愛想もよければ女にモテるだろうにさ」
松野下さんは肩を窄めながら、そう思うだろうと?と言葉を残して自分の席に戻って行った。