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蕾は開き咲きほこる
第2章 本来の私
「まぁ……とりあえず悪かったよ」
水木さんは私の肩を叩こうとして止め、自分の席に戻って行った。
水木さんに謝ってもらった事と、課長の言葉で傷ついた心も癒され平穏に仕事を続けることができた。
少しだけ残業をして帰っていると目の前に歩いている課長を見つけ、今日のお礼を言いたくて意を決して課長に近づいた。
「お疲れ、様です」
声をかけると課長は振り向き軽く会釈だけして歩きだした。
そのあとを追って横に並んでも、無口で有名な課長が何かを話すことはない。
私も自分から話すタイプではないから沈黙だけが続き最寄り駅に到着した。
逆方向の課長は「では」と言って反対側のホームに降りて行く。
普段だったら仕方がないと諦めるはずなのに、階段を下りていく課長に声をかけると降りる足を止めてくれた。
とっさに声をかけてしまったけど次の言葉が出てこない。