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蕾は開き咲きほこる
第2章 本来の私
課長は少し眉間に皺を寄せ、いつものように人差し指でメガネを上げながら視線を外すことない。
その視線にドキドキしながらお礼を言おうと口を開きかけた時、電車がホームに入り、ドアが開いと途端に人の波が押し寄せてくる。
その人波を一瞬見下ろした課長は、私のところまで上がって来ると腕を取って壁際に避けた。
その後ろを何十人という人達が通りすぎていく。
そこで漸く、自分が邪魔をしていたことに気がつき、それと同時に課長の足止めをしていることに気が付いた。
「す、すいません。課長が乗る電車っ」
「急いでいるわけでもないので構いませんが……キミから話しかけてくるのは珍しいですね」
電車から降りて登ってきた人たちがいなくなると、課長は壁際に背中を預けて腕組をしながらそんなことを口にした。
その体制は私の話を聞くためだとわかり、何もありませんといえる雰囲気ではなくなった。
ただ昨日の事を謝るだけ、それでも私には大きな出来事で唇をギュっとかみしめてしまった。
その視線にドキドキしながらお礼を言おうと口を開きかけた時、電車がホームに入り、ドアが開いと途端に人の波が押し寄せてくる。
その人波を一瞬見下ろした課長は、私のところまで上がって来ると腕を取って壁際に避けた。
その後ろを何十人という人達が通りすぎていく。
そこで漸く、自分が邪魔をしていたことに気がつき、それと同時に課長の足止めをしていることに気が付いた。
「す、すいません。課長が乗る電車っ」
「急いでいるわけでもないので構いませんが……キミから話しかけてくるのは珍しいですね」
電車から降りて登ってきた人たちがいなくなると、課長は壁際に背中を預けて腕組をしながらそんなことを口にした。
その体制は私の話を聞くためだとわかり、何もありませんといえる雰囲気ではなくなった。
ただ昨日の事を謝るだけ、それでも私には大きな出来事で唇をギュっとかみしめてしまった。