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蕾は開き咲きほこる
第17章 独占欲

『あっ、課長!おはようございます』

応接室から出た光春さんに気が付いた羽間さんは自分の席から立ちあがって挨拶をする。

『おはようございます。今日は早いですね。どうかしたんですか?』

『それが、スマホ忘れて帰っちゃって……気になって早く眼が覚めたんです』

『スマホがない生活ができないとは、羽間くんも今時の青年ですね』

『そうですかね~。それより相変わらず課長も早いですね。課長は読書ですか?』

『今日は仕事ですよ――あ~そう言えば、先週どこかに走りに行ったと聞きましたよ』

『そうなんですよ。今の季節は新緑がきれいで山を走ってきました。そうそう、これ見てくださいよ。前に話したじゃないですか、バイクと風景の写真。今回もばっちりで――』

光春さんは何事もなかったかのように羽間さんと話をはじめ、うまい具合に羽間さんから私のほうが見えないように身体の向きを変えてくれた。
その隙に応接室から抜け出し、這うようにして机の合間を抜けて何とか部屋を出ることができた。

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