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蕾は開き咲きほこる
第17章 独占欲

『そうですよね。本来ならば喜ばしいことなんですよね。それなのに私は……』

はぁ~とため息をついた後、私の肩に頭を乗せて握っていた私の手を握り返してきた。
そして……

『ただの――嫉妬です』

『嫉妬?』

『ええ……嫉妬です。今朝、羽間くんと汐里のじゃれあう姿を見て嫉妬したんです。みんなの輪の中にいる汐里を見て喜ばなければいけないのに……喜んではいるんですよ。喜んではいるんですが、その姿さえも嫉妬したんです……私だけに見せている笑顔を同僚に見せていると思うとイヤでたまらなかった……このままだったら汐里が私の手の届かないところに行ってしまうかもしれないと思ったら居ても立っても居られなくなったんです。――正直、自分がこんなにも小さな男だとは思いませんでした。こんなにも余裕がなくなるなんて思いもしなかった……』

それは、初めて聞く光春さんの弱音だった。
その弱音を聞きながら嬉しいと思う私は薄情なのかもしれない。
だけど、それだけ私の事を好きでいてくれると思うと嬉しくてたまらなかった。

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