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蕾は開き咲きほこる
第17章 独占欲

「これ……」

「先日、打ち合わせの時にいただいたんです。あまり甘いものは好みませんからよかったら食べてください。暑い中、資料室で探し物をしてくれたお礼です。暑かったでしょうから水分補給はしっかりとしてくださいね」

たったそれだけなのに寂しかった気持ちも消えてなくなり、上機嫌で自分の席に戻って仕事を始めた。
そんな私を見て羽間さんが声をかけてくる。

「課長って、坂上さんには優しいよね」

「そう、ですか?」

私は光春さんからもらったチョコレートをひとつ口の中に放りこんだ。
ほのかに甘く、口に入れたとたんに蕩けるチョコレートに益々笑顔になる。

「課長は誰にでも優しいと思いますよ」

「いや、絶対に違うね。坂上さんの事を気にかけてくれって言ったり、仕事中も気にしてるし、明らかに他の社員と違うって」

その言葉は嬉しいけれど、私たちの関係が同僚にばれるわけにはいかないから私は素知らぬ顔をして胡麻化した。

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