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蕾は開き咲きほこる
第18章 デート

「何か言われたら今の流行りだと言ってごまかせると思いますよ」
「流行りですか?」
「ええ、今はSNSがありますからね。あっという間に流行ると思います」
光春さんの言葉に意味が分からなかったけど、あたりを見回した瞬間に理解できた。
先ほどまで私たちを遠目にみていた人たちは、いつの間にか撮影に夢中になっていたからだ。
それも地面に映った影を撮ったり、数人で手を天まで伸ばして撮っていたりと、私たちが撮っていたような写真を撮り始めていた。
「私たちを見て撮りだしたみたいですよ。この中の誰かがSNSに上げれば一瞬にして広まるでしょう。ですから何かを言われても言い訳は立ちますね」
「ですね。でも凄いですね。さっきまでは普通に撮っていた人たちが今では光春さんの真似をして撮ってるなんて不思議です」
「流行りとはそんなものですよ。――そろそろ向かいましょうか」
時計を見ると、映画が始まる30分前。
歩いて10分程の映画館なので景色を楽しみながら向かった。

