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蕾は開き咲きほこる
第18章 デート
カップルシートでひじ掛けもなく身体はピタっと密着していて、後ろから回された指が私の身体を撫で始めた。

「映画といっても人の絡みのシーンを見るのはドキドキしますね」

周りに聞こえないように唇が耳に触れるほど近づいてささやいてくる。
普通のヒソヒソ話のはずなのに、耳にかかる息にゾクゾクして首をすくめた。

「そうでしたね。彼女のように汐里も耳が弱かったですね」

彼女と言うのはスクリーンのなかの主人公、美里の事。
クリスマスの夜に彼の家で密かなパーティを開き、ラグに座った美里を後ろから抱きしめた謙太郎が美里の耳朶を甘噛みしながら甘い時間を過ごしていた。
首をすくめ、荒くなる息に、時折混じる甘い吐息。
それはまさしく私と同じで、もっと触って欲しくて顔を上げるとすかさずキスをされるのも同じだった。
すごくエッチな濡れ場ではないけど、ふたりの幸せが感じられる素敵なシーンだった。

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