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蕾は開き咲きほこる
第20章 旅行

「この場所で光春さんに会えてよかった」
当時の事を思い出せば自然とそんな言葉が口をつく。
それだけ思い出深い出来事だった。
「そうですね。この場所で会わなければ付き合うこともなかったかもしれませんね」
光春さんも同じことを考えていたのか直ぐに返事が返ってきた。
それだけ光春さんに取っても思い出深い場所だと言うことで、また一緒に来られたことが嬉しい。
それを伝えると同じ気持ちだと教えてくれる。
「私たちの原点のようなものですからね。あの時はまだ汐里と恋仲になるなんて思っていませんでした……それでも一緒にいる時間が心地よくて、女性に対してそんな風に思ったのが初めてで驚いた事を覚えています」
「私もです。男性と話すことが苦手だったのに、あの時は、もっと一緒にいたいと思った自分に驚きました」
お互いに普通とは違う自分に遭遇して驚いた出来事。
だけど、本当は自分と価値観の合う人を待っていたのかも知れないと今では思える。

