この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蕾は開き咲きほこる
第21章 百合は咲き開く
「仕事と写真しか興味がなかったのに汐里ちゃんの為には仕事を早めに切り上げて帰るし、週末もずっとふたり、たまにお店に来てくれるんだけど光春くんの汐里ちゃんに向ける視線が熱くてこっちが困っちゃうんですよ。もちろん、汐里ちゃんが光春くんを見つめる視線も熱くて困っちゃうんですけどね」
「桜子さん、話を盛りすぎです」
熱い視線を向けている自覚がなく、言い返しても訂正をしてくれない。
それどころか……
「盛ってなんていないわよ。真実を話しているだけよ。それにね。そう思っているのは私だけじゃないし」
「桜子ちゃんだけじゃないって?他にもいるの?」
「そうなんですよ。常連客のみんなも同じように思ってるんですよ。こっちが恥ずかしくなるほど見つめあっちゃって、たまに、そのままキスしちゃうんじゃないかってぐらい見つめあうこともあるん――」
「キ、キスなんてしません!!!」
そんな事を人前でするわけもなく全力で否定しても聞き入れてもらえない。