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蕾は開き咲きほこる
第3章 課長の素顔
「ありがとうございます!!」
嬉しくて、つい大きな声でお礼を言うと課長は声を殺して笑う。
「今日の坂上さんは良く笑って喋って、会社とは大違いですね」
課長の言葉に自分でも不思議に思うけど、課長と一緒にいても怖くないし自然な自分でいられた。
普段は会話をするだけでも勇気がいるのに、今日はなんだか軽口が叩けてしまう。
「それを言うなら……課長もですよ。こんなに話しやすい人だとは思いませんでした」
そう言いながらお互いに顔を見合わせて笑った。
こんなに声を上げて笑うのも何年ぶりだろう。
それ以前に人と会話をして楽しいと思ったのも久しぶりだった。
「違うと言えば、こんなところまで一人で来たのも驚きですね。旅館からかなり距離もありますし、湖があるのを知っていたんですか?」
笑っていると、課長は思い出したかのように私がここに来た理由を聞いてきた。
普通に考えれば女性一人で来るには変だし気になることだと思う。