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蕾は開き咲きほこる
第3章 課長の素顔
「それは……人といるのが苦手で、同じ部屋のふたりが飲みだして盛り上がり始めたので抜け出したんです。外に出たら星空がきれで歩いてるうちにここまで来てしまって……」
「その気持ち……分からなくもないですね」
私の思いに同調してくれる課長に驚きながら、それでも分かってくれる人がいると思うと心強い。
それに、この短時間で課長との距離が縮んだと思うとうれしかった。
「私も人と話すのは得意な方ではないので自然の中にいるほうが好きなんです。ですから旅館を抜け出してこんなところ来て星空を眺めたりして一人の時間を楽しんでいるわけなんです」
「もしかして……私、お邪魔でしたか?」
課長の言葉に今まで楽しかった気持ちが一気に萎んだ。
一人の時間を楽しみたいのなら私の存在は邪魔で、送って行こうとしたのは早く帰ってほしいと思っての事だったのかもしれないと思うと今からでも帰った方がいいのかもしれないと立ち上がった。