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蕾は開き咲きほこる
第22章 嫉妬
「汐里、こんなところまで申し訳ない」
走って来てくれたのか、打合せが終わった光春さんが息を切らせながら入ってきた。
「大丈夫ですよ。それよりお疲れさまでした」
労いの言葉をかけると、ふたりで居る時のように笑顔を向けてくれる。
仕事で見せる少し冷たい感じがする光春さんも好きだけど、こんな風に私だけに見せる笑顔はもっと好きだった。
「私の顔に何かついていますか?」
「あっ、いえ。……何でもないです。それより、これっ、確認お願いします」
考えていた事を知られたくなくて、ごまかすように羽間さんから預かった書類を渡した。
それを受け取った光春さんはパラパラと書類に目を通していく。
そんなに大量な資料ではないから全てに目を通すのに時間はかからない。
最後まで目を通した書類に捺印を押して貰えれば私の役目は終わる。
ほんの少しだけでも光春さんに会いたいと思って私が行くと提案したことだけど、会えばもっと一緒に居たいと思ってしまう。