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蕾は開き咲きほこる
第3章 課長の素顔
ハハハッと笑う課長はどこか寂しそうだったけど、課長の気持ちは良くわかる。
人とコミュニケーションを取りたいのに取れない歯痒さ。
どんなに変わろうとしても変われないもどかしさ。
そして、唯一の表現方法でさえ難しいと分かっている現実。
だけど課長は私と違って社会に出て評価される立場まで上り詰めている。
私はプライベートもダメなら社会でもダメな人間で……課長がうらやましい。

「そろそろ戻りましょうか。朝食の時間に顔を出さないと流石に心配されますよ」

課長の言う通り、昨晩から帰っていないと分かれば流石に心配されるかもしれない。

「あ、あの。私も何かお手伝いを」

「そうですか?では毛布などを畳んでいただけますか?」

後片付けを始めた課長を見て、私も慌てて片づけを手伝った。
焚火のセットにテント、こんな大荷物をどうやって持って帰るのかと思っていると駐車場に停めてある車に積み込んで旅館まで戻った。
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