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蕾は開き咲きほこる
第3章 課長の素顔

「おかえりなさい。良い景色撮れたかしら?」

玄関先を掃除していた女将さんが課長に気さくに話しかけ、課長は車のカギを女将さんに渡した。

「ええ。今年も夢中でシャッターを押していましよ。昨晩から贅沢に堪能させていただきました。テントまでお借りして毎年ありがとうございます」

「いいのよ。本当だったら武史(たけふみ)も朝早くに行く予定だったのに朝食の仕込みが終わらないって厨房で嘆いていたのよ。だけど行かなくて正解ね」

女将さんは可愛らしくウィンクをして私に視線を向けた。
これはどうみても変な誤解をしていると嫌でもわかる。
女将さんと課長がどういう関係かは分からないけど、誤解をされたままだと課長に迷惑がかかると何かを言おうとしても言葉が出てこなかった。
そんな私を女将さんはフフフッと笑いながら尚も誤解は続く。

「いつものように露天風呂にタオルを用意しておいたからおふたりでごゆっくりと過ごしてくださいな。武史にも行かないように言っておくわね」

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