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蕾は開き咲きほこる
第24章 それぞれの一歩

「寂しい……という気持ちはもちろんありますよ。5年も寄り添ってきたんですから。ですが、そこに留まることを末広は望んでいない。それぞれが自分の幸せの為に歩く事を望んでいると思うんですよ。桜子さんにはれっきとした長野さんという彼氏が出来、この場所に一緒に来ることができた。もう、私の役目は終わったんですよ」

役目を終わったと言った時の表情が、桜子さんと並んで藤の花を見上げている姿と重なった。

「それを、末広さんに伝えていたんですか?」

私の言葉に驚いたように目を見開く光春さんに今度は私が笑う。

「そんな気がしたんです。末広さんと話してるんだろうなって」

長野さんが言った言葉は私も同じように思っていた事。
藤の花を見ながら、語りかけているような、そんな感じだった。

「汐里にはかないませんね」

光春さんは観念したかのように私との間合いを詰めて寄り添い、心の内を語ってくれた。

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