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蕾は開き咲きほこる
第3章 課長の素顔
この宿自慢の露天風呂で気になっていたけど混浴ということで諦めていた。
その露天風呂に入れるようになり少なからず浮かれていたんだと思う。
本当だったらもっと慎重だったはずなのに、私は確認する事なく浴衣を脱いで露天風呂へと続く扉を開けた。
だけど誰もいないと思っていた露天風呂には先客がいて、お互いに目があって気まずい思いをする。

「あの、今は一般の客のご利用を遠慮いただいているんですが……」

露天風呂に浸かっていた女性の言葉を聞いて私は慌てて説明した。

「すいません。女将さんに入ってくるように言われて……いつも部長に、杉澤が使われてると」

咄嗟の事でうまく説明できなかった。
だけど課長の名前を出すと、今度は女性の方が慌てた。

「そうだ。昨日から杉澤さんが来てるから今朝は使っちゃダメだったんだ。本当にごめんなさい。すぐに出ますから浸かってください」

「だ、大丈夫です。内風呂に行きますから」

お風呂から上がろうとする女性を止め、私は慌てて浴衣を着てロビーに戻った。

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