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蕾は開き咲きほこる
第4章 変わる日常

「羽間さんに私の事を頼んでくれたって……」
「聞いたんですか?」
「はい、でも、どうして?」
それが正直な疑問だった。
「社員旅行の時に話をして思ったんですよ。私ときちんと会話ができるのであれば誰かが話しかければコミュニケーションが取れるのではないかと。羽間くんは人当りもいいので頼みましたが正解でしたね」
そう言って笑う課長の笑顔は社員旅行の時に見た笑顔と同じでホッとした。
社員旅行が終わってから課長とは個人的に話すことはなく、あの時のように笑うことなく厳しい表情で仕事をしていた。
だから、あの時一緒にいた時間は夢だったのかもしれないと思うこともあったけど、この笑顔を見れば夢でも幻でもなかったと分かる。
「明日は……何か予定はありますか?」
駅に到着し、それぞれのホームに向かおうとした時聞かれ、急なことに返事もできなかった。
「前に言っていましたよね。コーヒーミル一式が気になると。豆を買いに行く予定ですので時間があえればと思ったんですがどうでしょうか?」
社員旅行の夜にそんな話をしたこと思い出し、些細な事でも覚えてくれていたことが嬉しかった。

