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遠き記憶を染める色【完結】
第27章 彼女は彼女を見ていた
『ですから、ファンの方も本当のところを知りたがっているんですよ!甲田さんがいたたまれないから、まだ別れて間もない年上であられる永島さんが一番、よくご存知のことと思いますので。永島さんは甲田さんのその悩み、交際している間は、当然、そのことだけで別れる理由にはしていなかったということで、よろしいですね?』
「ええ!まあ、最初から知っていたことですから!」
”嘘つき!!”
テレビの画面の向こうでは、無言でこう呟く少女がいた。
***
『永島さん!では、レッツロールのメンバーがコメントした、2年近く前からお二人がすでに破局してたということが事実なのか、お答え願いますか?』
「別れた別れてないって線引きは、一様じゃあないですから…」
『それでは、永島さんの認識では、結婚前提まで宣言したお付き合が続いていたのはいつごろまででしたか?』
「そんなこと、答える必要はないですから。ノーコメントです。じゃあ、もう迷惑なので…!」
もう弓子は小走りで報道陣をかわし、逃げの態勢だ。
***
一方、芸能レポーター陣もここで逃してはなるかと、弓子をピタリとマークし、マイク攻撃はいよいよ激しさを増していた。
『なぜですか!お二人が決別を表明されたのは、永島さんが助演賞に輝いた映画の大役を射止めて直後ですが、それ以前に破局していたのかどうか、事実をお聞かせください!』
「答えられません!理由はさっき言った線引きが微妙なので…。そう言うことですよ!以上で失礼しますから…」
『待ってください、永島さん!甲田さんが自殺にまで自分を追い込んだ悩みですよ!仮にそのことが理由で、事実、お二人が終わっていたなら、その間、結婚前提の交際を続けていることを世間に装うって、甲田さんは一人で悩み続けていたことになりませんか?』
「ふざけたこと言わないでくれますか!もう何もしゃべりません!!」
永島弓子は付き人とともに、報道陣を強引に押しのけ、疾風のように去って行った。
「ええ!まあ、最初から知っていたことですから!」
”嘘つき!!”
テレビの画面の向こうでは、無言でこう呟く少女がいた。
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『永島さん!では、レッツロールのメンバーがコメントした、2年近く前からお二人がすでに破局してたということが事実なのか、お答え願いますか?』
「別れた別れてないって線引きは、一様じゃあないですから…」
『それでは、永島さんの認識では、結婚前提まで宣言したお付き合が続いていたのはいつごろまででしたか?』
「そんなこと、答える必要はないですから。ノーコメントです。じゃあ、もう迷惑なので…!」
もう弓子は小走りで報道陣をかわし、逃げの態勢だ。
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一方、芸能レポーター陣もここで逃してはなるかと、弓子をピタリとマークし、マイク攻撃はいよいよ激しさを増していた。
『なぜですか!お二人が決別を表明されたのは、永島さんが助演賞に輝いた映画の大役を射止めて直後ですが、それ以前に破局していたのかどうか、事実をお聞かせください!』
「答えられません!理由はさっき言った線引きが微妙なので…。そう言うことですよ!以上で失礼しますから…」
『待ってください、永島さん!甲田さんが自殺にまで自分を追い込んだ悩みですよ!仮にそのことが理由で、事実、お二人が終わっていたなら、その間、結婚前提の交際を続けていることを世間に装うって、甲田さんは一人で悩み続けていたことになりませんか?』
「ふざけたこと言わないでくれますか!もう何もしゃべりません!!」
永島弓子は付き人とともに、報道陣を強引に押しのけ、疾風のように去って行った。