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遠き記憶を染める色【完結】
第30章 波紋
Y美:そうよ!フェアに見て、つい最近まで結婚前提で世間へ通していたんなら、その相手のショッキングな死を一般論でスルーなんて、人間性疑うわ!


A代:あのさ…、その辺のこと…、流子は彼から聞いてたのかな?…だって、自分で命を断つ数週間前だよ、彼が4年ぶりに彼女と会ったの…。


Y美:うん…。たぶん流子は知っていたと思う。…あの朝、長野の合宿組の面前で抱き合ってたそうだもん。あまりに厳粛な感じだったらしく、その場では冷やかしとかは一切なく、自然と拍手がわき起こったのよ。あの二人は心からつながってるのよ!


Z子:だからさ、流子がどう捉えているか…。それが答えだよ、きっと。


Y美&A代:無言でうなずく。


***


甲田サダトの死を受け、ここ大岬で彼がこの地をこよなく愛し、幼いころから潮田流子とは兄妹同然の仲であったことは、この時すでに広く知れ渡っていた。


大岬の人々はサダトと流子に同情の念を抱く一方で、連日のテレビ報道もあってか、永島弓子に対してはもはや憎悪に近い感情まで達していたのだろう…。


そして…。


***


「おーい!大変だよ、Z子、Y美、A代…!今、家からライン来てさ…。流子が甲田サダトの日記とかも公表して、マスコミに永島との本当のこと晒すって…!ワイドショーのリポーターがテレビで宣言してるそうよ!!週明けから学校にも来るって、彼女…」


ーZ子とY美とA代はカタまっていたー



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