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遠き記憶を染める色【完結】
第32章 かくて二人はカラダも溶け合った
目が覚めると…、流子はすぐに”それ”は夢だと悟った。
ベッドの中の全身は汗がにじみ出て、動悸も激しい…。
通常なら、大声をあげて起き上がり、ハアハアしながら、”夢だったのか!”となる…。


”あんなこと”があったのだから…、”悪夢”にうなされて無理もない、当然…、となる。
だが…。
流子は、そのショッキング極まる夢が去来することを歓迎していたのだ。


いや…、それどころかその夢こそ、”呼び夢”だったのだ。
そして、その真っ赤な夢を今度は”寄せ夢”にすることも決めていた。
そう…、ほかならぬあの女に向けて…。


ベッドの中で、流子は静かに微笑んでいた…。
どこか不遜な表情で。



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