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遠き記憶を染める色【完結】
第34章 望むカタチ
「ちょっと待ってください、○○さん…!そうなると、甲田さんのお持ちになっていたご自身のその性癖の件って、ひょっとすると所属事務所は知らなかったんじゃないんですか?」


『…どうもそのようなんです。流子さんの手記によりますと、甲田さんはその特異な性癖を事務所側に告げれば、レッツロールとしての立場や今後の芸能活動が危ぶまれるという思いがあっての判断ではなかったかと…。潮田さんは、当時リアルタイムでメールや電話でやり取りをしていた内容も思い起こした結果、そう推測されているということなんです』


「いやー、潮田さんは甲田さんが亡くなる数週間前に、甲田さんの遠縁にあたる潮田さんの親戚の家を訪れた際、4年ぶりに会っているんですよね…。ある意味、甲田さんのことを誰よりも知り得ている方だと言えるんじゃないんですか…?」


『ええ…、実は今日、潮田さんから寄せれた第二報の中で、甲田さんのそういった性癖を生んだ原因とささやかれている、8年前に大岬沖でおぼれかけた際、その漁船には潮田さん自身も同乗していて、海から救出されたその一部始終に立ち会っていたという告白も含まれていたんです』


「えー?潮田さんがその場にいらしてたんですか!」




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