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遠き記憶を染める色【完結】
第36章 到達点
”決まってるわ!サダトを喰いものにした永島弓子へのリベンジよ。それ、見事功を奏してるわ”


”その子、水の中でサダトとヤッたんだろうな。この夏、大岬の海で。そのあと東京行って甲田サダトの部屋訪れたそうだが、そこで普通のセックスにチャレンジしたと思う。で…、ヤレたのかな?”


”私はデキたと思う!だから、二人は究極で結ばれたのよ!”


”でも、風呂でもヤッてたな。問題はそん時、サダトが刃物持ちこんでたかだわ”


***


ネット内でのリアクションは、意外な程”一方向”であった。
すなわち…、流子が実名を晒した潔さと勇気が、”その他の方向に流れるすべての途をまずは塞いだ。


これは流子の希望的観測がズバっと、ハマった結果と言えた。
そしてそれを導いたのは、彼女の機を捕らえる感覚が極めて鋭利であったということがあるのだろう。


その証拠に、もはや甲田サダトの常軌を逸した”自刃”報道は、はっきり二つの流れに分かれたのだから…。
ひとつは永島弓子のスキャンダル面(アイドル食いの過去をほじくる、生産性のないマスコミ18番のエグイあら探し含)、そしてもうひとつが現役アイドルだった故甲田サダトと、心と体を通じ合っていた16歳の女子高校生、潮田流子の更なる”告白”を待つ、”二人の真実”…。


彼女は、ここで確信した。


”今だわ!サダトさんと私の愛は4年前に確認し合ったことを世間に流す…!”、と…。


さらに…。


”うふふ‥。そうよ、私の名前は潮田流子なのよ。そして、カレはサダト…。狙い通りのところを突いてくれてるわ、ネットの若者は…。これならセカンドオピニオンが確立されるまで、もう少し時間があるってもんよ”


その日の深夜…、照明が消えた流子の部屋では、パソコンの画面がほくそ笑む流子の妖しい顔を醸しだしていた…。




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