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異邦人の庭 〜secret garden〜
第5章 ペニー・レーンの片想い
紗耶は小さくため息を吐きながら、電話を切った。
…どうしよう…。お迎えに来てくださるなんて…お兄ちゃまにご迷惑かけちゃう…。

「サーヤちゃんはマジ、お嬢様だなあ〜。
兄貴のこと、お兄ちゃま…て言うのかあ〜」
「俺の妹なんか、呼び捨てだぜえ?
タケシ!アイス買ってこい!てパシリだよ」
「いや、身分が違うから。おめ〜とは」
賑やかに盛り上がる周囲を他所に、隼人がそっと尋ねる。
「…大丈夫か?あのひとに、叱られたのか?」
「いいえ、大丈夫です。少し…心配していただけです…」
紗耶は気を遣わせないように微笑む。

「な〜んかワケありみたいだねえ…」
梢がアイコスを咥えながらさらりと呟いた。
「ま、人生色々。人それぞれ色々あるよね」
…そうして…
「小宮っち!サーヤちゃんのため、皆んなで自己紹介しよ!
それで早く名前と顔、覚えてもらお!」
と、紗耶の気分を変えてくれるように提案してくれたのだ。

いいぞ〜!アネゴ〜!
雄叫びが木霊する。

「じゃ、言い出しっぺの私からね。
大導寺梢です。文学部英文学科二年。楽器は津軽三味線…までは話したよね。
大導寺なんてゴツい名前は実家が寺だから。
青森県の弘前…じゃなくて、そこをず〜っと奥地に行った山寺の娘です。
携帯が大体圏外になっちゃうような山奥だよ。
道中には熊が出るド田舎だから、遊びに来る時は気をつけてね。
…このサークル、女子がいなかったから…いても皆んな、こんなアホなメンツにビビってすぐ辞めちゃったから、サーヤちゃんみたいな可愛い女の子が入ってくれてすごく嬉しい。
これからよろしくね!」
梢は、にっこりと笑った。
…ド派手な金髪にきりりとしたクールメイク、爪はブラックだが、少しも下品ではない。
笑うと温かな優しさがふわりと溢れるようだった。

紗耶は胸がいっぱいなり、頭を下げた。
「よ、よろしくお願いいたします!」

よっ!アネゴ!
次期ジュ〜ショクッ!
ロッカー住職!ヨロシク!
野次のような声援が飛ぶ。

紗耶は意を決して立ち上がる。
「ど、どした?大丈夫か?紗耶?」
心配する隼人に緊張しながら頷く。
「わ、私も…ご挨拶いたします…」

…両手を握りしめながら深呼吸をして、口唇を開いた…。

…落ち着いて、落ち着いて…。











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