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異邦人の庭 〜secret garden〜
第6章 ペニー・レーンの片想い 〜Lady Yの告白〜
…このひとが千智様…?
なんだかイメージと違って調子が狂うわ…。

「…初めまして…。
丹下徳子です」
膝を折り丁寧に挨拶をし、着席する。

千智が、ほっとしたように笑いかけてきた。
「良かった…!すぐに徳子さんだと分かりました。
お写真通り…いや、それ以上に綺麗で華やかで…。
徳子さんが入っていらしたら、周りがぱっと明るくなりました…。
あ…、す、すみません…!
お会いしたばかりなのにこんな…不躾に…!」
赤くなりながら頭を下げるさまは、全く気取りもなく純朴な大学生だ。
「…はあ…」
…本当にあの高遠本家のご当主様なのかしら…。

徳子はまじまじと千智を見つめた。
…よく見ると、地味だがとても仕立ての良いシャツにジャケットやスラックスを身につけている…。
時計はロレックスだし、磨き上げられた焦茶の革靴は恐らくはイタリア仕立ての良いものだろう。
眼鏡の奥の一重の瞳はとても知的で、優しげだ。
地味な目鼻立ちだが品良く整っていて、その佇まいは清潔感に満ちていた。
大学四年生と聞いていたが、年より若く見えた。

徳子は気を取り直して、革張りのメニューを広げた。
…せっかくだからスイスらしいものが良いかしら…。
ミート・フォンデュかチーズ・フォンデュ辺りが無難かしら…。
「何か召し上がれないものはありますか?」
念のために尋ねてみる。
「いいえ。何でも食べます。
…あ、でも…。へ、蛇とかカエルは苦手です」
徳子は眼を丸くする。
「そんなの、私だって苦手ですわ」
「あ、す、すみません…!変なこと、言いましたね」
頭を掻く千智と眼が合い、思わず吹き出す。
釣られて、千智が照れたように笑った。

…このひとを、嫌いではないかもしれない…。
そう、少しだけ弾むような気持ちで、徳子は思った。





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