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異邦人の庭 〜secret garden〜
第6章 ペニー・レーンの片想い 〜Lady Yの告白〜
アルフレッド・ブルー・ソールズベリーは弱冠二十歳にして、名門ソールズベリー侯爵家の若き当主であった。
父親のヘンリー・ボナム・ソールズベリー卿が病弱であったために、早くに家督を譲られたのだ。

彼はケンブリッジ大学に通う傍ら、ソールズベリー家が有するマナーハウス管理のために度々、スコットランドのメルローズを訪れていた。

…アルフレッドと徳子の出会いは昨年の五月…。
エジンバラに住むアルフレッドの叔母が千智の同僚の妻という縁で、彼はこのマナーハウスのお茶会に招かれたのだ。

お茶会が始まるというのに姿が見えないアルフレッドを従者が探し回っていた。
「アルフレッド坊っちゃまはすぐにお姿を眩まされるのです。
本当にいつまでたってもやんちゃなお坊っちゃまです!」
汗だくになりながら従者が零す。

…徳子は探すともなく薔薇園の奥に脚を運んだ。

ケンブリッジに通う名門貴族の若き当主…。
きっと生意気で、我儘で、鼻持ちならないに決まっているわ。

つい、そんな偏見が思い浮かぶ。

…徳子の脚が、ふと止まる…。

ポールズ・ヒマラヤン・ムスクが織りなす甘い薫りの白いアーチのもとにひとりの、眼を見張るばかりに美しい青年が芝の上で、優雅なうたた寝の真っ最中であった。






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