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異邦人の庭 〜secret garden〜
第6章 ペニー・レーンの片想い 〜Lady Yの告白〜
…「そうして私と旦那様は、日本に帰国しました。
…それからまもなく日本は英国やアメリカとの長く悲惨な戦争への道を歩んでいったのです…」

…窓辺のアルテミスの薔薇は夜の闇と対比するかのように仄白く輝いている。
そのミルラ香は甘く切なく、徳子の周りを漂っていた。

あの夜と同じだ。
徳子は静かに思う。
…けれど、違うのは…。

眼の前にはコーネリアのように可憐な孫息子の婚約者がいることだ。
…月日は瞬く間に過ぎ、自分はもうとっくに老人と言われるような年なのだと、徳子は改めて思い知らされる。


コーネリアの娘は、その愛らしい涼やかな瞳に、涙を一杯に溜め、固唾を飲んで徳子の話に聴き入っていた。

その無垢な様子に愛おしさが泉のように湧き上がる。
「…清らかな乙女の貴女に、随分と淫らで不道徳な話をしてしまったわね」
微笑みながら詫びると、紗耶は必死で首を振った。
「いいえ…!いいえ!大お祖母様!
そんなこと、ありません!」
透明な、水晶のような涙が溢れ落ちる。

「…それで…ソールズベリー卿は…アルフレッド様は、どうなったのですか?」
さながら、お伽話の続きを求めるように、紗耶は熱心に尋ねる。


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