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異邦人の庭 〜secret garden〜
第6章 ペニー・レーンの片想い 〜Lady Yの告白〜
徳子は声を立てて笑った。
「…こんな皺くちゃのお婆さんが逢いに行ったって、気づいてもらえないわ。
…それに…」
…紗耶から本を受け取り、その表紙をそっと撫でる。
「…アルフレッドには、若く美しかった私だけを覚えていてほしいの…。
…それも厚かましいかしらね?」
悪戯めいた眼差しで笑うと、紗耶は大真面目な表情で首を振った。
「大お祖母様は今もとてもお美しいです」
コーネリアの娘の白く滑らかな頰を軽く抓る。
「お優しいのね。ありがとう」
…そうして…
「…昔話には続きがあるのよ。
聞いてくださるかしら?」
「もちろんですわ」

「…日本に帰国して二年後、私は奇跡的に子どもを授かりました。
本当に嬉しかった…。
…生まれたばかりの我が子を抱いてその瞳を見たときに、驚いたわ。
…息子は蒼みがかった鳶色の瞳をしていたの」
「大お祖母様…」
徳子は朗らかに笑った。
「もちろんアルフレッドの子どもではないのよ。
彼と別れて二年も経っていますからね。
正真正銘、旦那様の子どもです。
…けれど…。
私には、それがアルフレッドとの恋の結晶のような気がしてならなかったの。
…旦那様は、少しも動揺されずにこう仰ったわ。
『綺麗な瞳の子どもですね。
きっと良い子に育つでしょう。
徳子さん。産んでくれてありがとう』
そうして、息子…千聖を愛おしそうに抱いてくださったの…」

徳子の瞳から、初めて涙が溢れ落ちた。
「…大お祖母様…!」
徳子は涙を流しながら毅然と姿勢を正してみせた。
「鬼の目にも涙よ」


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